しあのたび

身近なナゾを解く本探しの旅


0020.第一印象と信頼

「信頼作りの方法探し」などと途方もないたびに出たしあですが、あちこち巡り歩いて「理屈」だけ拾い集めても、それを実現する力がなければ目的地にはたどり着きません。そんなわけで、実践スキルの紹介も織り交ぜることから、このブログは話が長くなりがち。まして、目的地が最果てにあるだけあって、立ち寄らなければならない街や宿は数知れず、途中で無節操に増えていく気がします。なので、最初から全体像の把握など期待せず、お茶飲み話のようにのんびりお付き合いくださるとうれしいです。

で、出発は「コミュニケーション」の街から。

えーと。「そんな基本的な所でうろうろしてて、世界の滅亡を防げるのか?間に合うのか?」という声が聞こえたような気がしました。確かに、しあのたびは世界を救う信頼回復のたびではありますが、そのためには良好なコミュニケーションの確立が欠かせません。何を語るにしても、ここを突破できないことには議論が空転するだけだからです。どんなに「ご立派な志」を持っていても、第一歩目を踏み出す実践スキルが無ければ、そのうちキジョーノクーロンとして霧散してしまいます。なので、コミュニケーションを理解し、それを実践できる実力を身に付けることは、しあのたびでは必須課題なのです。ひきこもりのしあが一番苦手なお話から始めなければなりません。

さて、コミュニケーション論を一回でまとめられるはずもありませんが、まずは「基本形」として、フラットな状態で人と人が出会う場面、つまり初対面を想定してどのようにコミュニケーションを確立していくかを考えてみましょう。このとき大事と言われるのが「第一印象」。最初はここから始めてみましょう。

これだけはやっちゃダメ

「第一印象」のお話を始める前に、信頼関係を築こうとするとき、逆にこれだけは「やっちゃダメ」なことを確認しておきたいと思います。何が「信頼を損なう」ことになるでしょうか?

まあ、時間を守らないとか、約束を守らないとかもありますが、それよりも人間関係破壊の究極の爆弾は、「相手に脅威を感じさせること」です。特に初対面で信頼を失うと、「奇跡が起きない限り信頼を取り返せない。」とも言われます。

臨床心理士の先生によると、ヒトは「脅威」を感じたとき、無意識のうちに精神が防御結界を張ってしまうそうです。これは獣に襲われたときなどに反射的に危機回避するためヒトに備わった生理的に大事な反応の一つで、無意識下で作動するので反応の発現自体は本人の意思でどうにかなるものではありません。うちのバアバは本能的に、国会中継の中に信頼関係を損なう因子を感じたのかもしれません。これから信頼関係を構築しようとするとき、相手を否定したり見下した態度や威迫的な言葉遣いをすれば、相手に脅威を与えてしまいます。それがどんなに正しいと思う主張であったとしても、信頼関係ができていないところでそれをやっちゃうと、その主張は永遠に相手に届かなくなります。

それと、初対面の相手に不用意に自論を強弁したりすると、運悪く相手の考えと異なっていた場合、反発と警戒を生む可能性もあるので、相手の様子がわかるまではちょっとやめておいた方が無難でしょう。初対面から地雷を踏む危険を冒す必要なんてないと思うのです。何が言いたいのかというと、たとえそれがどう考えても正論だとしても、それを言うのは「信頼関係ができてからで遅くないですか?」ということです。

警戒の解除

「やっちゃだめ」の反対を考えれば、第一印象の目的も分かります。初対面では、お互いに「安心できる相手である」と認識してもらえるかどうか、つまり警戒を解けるかどうかがカギです。で、この成否がいきなり人間関係の分かれ目となりますので、営業のプロや芸能人の方たちは、一番神経を使うプロセスだと言います。その目でみると、「家族に乾杯」の鶴瓶師匠の立ち振る舞い、身なり、話し方は、全て芸術の域としか言いようがありません。ちょっと思い出してみてください。警戒のケの字も感じさせません。

ここで芸人さんを引き合いに出したには訳があります。相手を攻撃したり否定するつもりなどモートー無くても、この際、「それが相手に伝わらなくては警戒は解けない」ということです。問題なのは「相手からどう見えるか」です。となると、自分の本心はともかく、相手が「この人は安心してつきあえる」と見えるように「演技」というか「自己表現」しないと相手には伝わりません。これ、しあみたいに半分引き籠りにはとってもミミイタです><。みなさんはどうでしょう?

さて、第一印象が大事ということはよしとして、それではどうやったら第一印象をよくできるのでしょうか?

非言語表現

第一印象と言えば、営業職ですね。文章だけ書いてモジモジしてるしあと違って、実践で結果を出すのが仕事の営業職の方にとってみれば、それがどんなに高度なスキルであったとしても、当たり前に身に付けて(身に付かない方は営業職でいられなくなってます)います。この際、そのコツは営業のプロの方にお尋ねしましょう。本線ではまず第一に「非言語表現」をご紹介します。

どういうことかと言うと、初対面となれば、まだ信頼関係はできていません。見ず知らずの人を見れば普通の人は内心警戒しています。この段階では、話し手の「ことば」はまだ信用されていません。何を言っても、その内容は相手の頭には届いていても、「心には届いていない」のです。言葉が通じない段階となれば、消去法的に考えて、非言語表現を上手に使うしかありません。この「非言語表現」の重要性を説明しているのが「メラビアンの法則」。営業の世界では超有名なのだそうです。

調べてみると、言葉ではない表現、けっこう沢山ありますよ。身振りや笑顔は誰でも思いつくと思いますが、本当の営業のプロの方々は、面会のタイミング、面会時間帯、面会場所の雰囲気、BGN、服装、身だしなみ、礼儀、挨拶、着席の位置関係、相手との距離、相手に適合する自己キャラクター設定、声の大きさ、声の表情、方言や言い回し、目に訴える背景や小物、匂い・香り、相手に触らせるモノ、近所や市場の情報、わかりやすい資料、こまかく言い始めると無限に出てきます。これらを、TPOに応じてどう使うか考えると言います。具体例もいくつか教えていただきましたので、枝番でご紹介したいと思います。実際のムードを知りたい方はそちらもご覧ください。

これらは理論と言うより「トレーニング」「修行」に近いお話で、「どんなに頭でわかっても、できない人がいることは事実」なのだそうです。ただ、それを必要とする場面があれば、そんな技術が利用できるということ。実際の営業職の方々は、お客様と営業側に分れて商談を模擬訓練するのだそうですが、それは「ロールプレイング・トレーニング」というのだそうです。体や声や道具を使ったトレーニング、何というか、劇団の役者さんの稽古とかに似たイメージですね。

初対面の会話

もちろん第一印象だけ完璧にこなせたとしても、それでコトタリルわけではありません。工夫した第一印象の上に、言葉を乗せてコミュニケーションは始まります。初対面の相手にどんな話題が合うのか、については、次の記事に任せようと思います。ただ、ここであらかじめ触れておきたいのは、

いきなり自分の主張をぶつけるのだけはやめておこう

ということです。せっかく第一印象を工夫して警戒を解く雰囲気作りに成功しても、まだ信頼関係ができていないのです。この段階では、自分の主張をぶつけてもその言葉は相手の心に届かないどころか、警戒心を強める可能性まであります。なので、初対面で使う「話題」と言うのは、まず相手の警戒心を解くことを目的として選択されるべき、なのだそうです。

具体的には、話し上手は聞き上手の喩のとおり、「相手が話しやすい話題」を提示して、聞き役に回ることが王道です。相手が話しやすそうな他愛ない話題が基本ですが、上級者はちょっと工夫して相手の価値観や興味関心を聞き出せるような話題を提示して、聞き役に回ることで相手を把握し、自分の出方を考える材料にもするのだそうです。さんまさんや鶴瓶師匠、タモリさんはこれが抜群に上手いと思います。ここも次回の記事の枝番で具体例を用意しますので、興味があればご覧ください。

助言や指導、提案は信頼関係ができてから

今回は、第一印象をよくするには、「相応の技術」「演技」が必要ということを見てきました。なんだか、人を欺くニオイがして嫌な感じがした人はいませんでしたか?しあは、人付き合いが苦手なこともあって、あまり気乗りがしません。でも、良かれと思って本気で誰かに助言したり、立場上としても誰かを指導しようと思うなら、

まずは人間関係をつくることに集中した方がよい

とは思うのですよ。そうでなければ、すべての助言や指導は「おせっかい」とか「パワハラ」などと受け取られかねないからです。エリートと呼ばれている人の中で「正しいことを言ってるのに、いうことをきかないお前らはバカだ!」と墓穴を掘って嫌われる人がいるという話は昔からたくさんありましたが、それはこのことに気が付いてなかったんだと思います。

そして、人間関係をつくるには相応の「表現」が必要だということ。しあも昔、痛い思いをしました。心から相手を慕っていれば、相手もいつか自分をわかってくれると信じているそこのアナタ!あまい、甘いですわ!恋に戦略戦術あってしかるべしなのですわ!

はい、今回はここまで。ではまたお会いしましょう。御機嫌ようお過ごしくださいませ。